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知っておきたい清水の歴史 第5話

第5話 350年も続く入江商店街の『朝顔まつり』

清水の祭りというと『清水みなと祭り』が有名です。この『清水みなと祭り』は、昭和22年(1947年)に清水の経済界が中心となって開催されました。また、『清水七夕まつり』は、昭和28年(1953年)に清水の商店街を中心に、開催されたのがはじまりです。
ところが、すぐ近くの入江商店街では350年も続く祭りがあるのです。法岸寺というお寺が中心となって行われる『朝顔まつり』です。今回は、この『朝顔まつり』の話をさせていただきます。
1. はじめに・・・
朝顔まつりは、江戸時代の人形浄瑠璃のモデルが、この法岸寺に埋葬されていることから始まった祭りです。
江戸時代では、人形浄瑠璃とか歌舞伎が人気を集めておりました。 この中で『朝顔日記』という演目が、大層な人気だったのでございます。この『朝顔日記』は、演目名としては『生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)』と記載されることが多かったようです。
なお、「生写朝顔話」の生写とは、生き写し、すなわち本物そっくりの意味です。現代風に言えば、フィクション(作り話)ではなく、ノンフィクションなのです。
この題名と主人公の名前の『朝顔』から、入江商店街の『朝顔まつり』は、始まったのです。本日は、『朝顔日記』の話からさせて頂きます。
文楽座 人形浄瑠璃
2.人形浄瑠璃と文楽座・・・
『朝顔日記』には、異なるストーリーがいくつか存在しますが、今回は、文楽によるストーリーであらすじを説明します。
人形浄瑠璃では、文楽座だけが残り、今では『文楽』は人形浄瑠璃の代名詞です。
次に、人形浄瑠璃は、浄瑠璃を語る太夫(たゆう)・三味線・人形が一体となった伝統芸能です。太夫と三味線だけの場合には素浄瑠璃といいます。浄瑠璃の流派としては、全部で八つの流派があります。その中では、圧倒的に義太夫節(ぎだゆうぶし)が強く、浄瑠璃=義太夫(ぎだゆう)という感じです。義太夫は歌舞伎でも語られます
3.朝顔日記・・・
では、『朝顔日記』のストーリーを始めます。
本来は17段あるのですが、今では6段だけが上演されます。ここでも6段だけ説明します。

上村松園の理想とする女性「深雪」(=朝顔)

【宇治川(うじかわ)蛍(ほたる)狩りの段】

雪と阿曽次郎が初めて出会う場面です。
(登場人物)
宮城阿曽次郎、その友人月心、秋月の娘深雪、その乳母浅香。

名セリフ『思はず見合はす顔と顔、互ひに見とれる目の中に、通ふ心をいは橋の、渡してほしき思ひなり』

【明石浦(あかしのうら)船別れ(ふなわかれ)の段】

深雪と阿曽次郎との偶然の再開、そして突然の別れ。
(登場人物)
宮城阿曽次郎、秋月の娘深雪、
明石の船頭。

朝顔の歌が書いてある扇子を阿曽次郎の船に投げ込む悲しい別れ。

(明石浦船別れの段から浜松小屋の段の間でカットされた話)

深雪は阿曽次郎のことばかり考え、思いつめ、病気になってしまいます。阿曽次郎はわけあって改名し、改名後の名前で深雪の父に『深雪を嫁にもらいたい』と手紙を出します。父は深雪にこの人物と縁談するように話しますが、改名後の名前だったので別の人物と勘違いして、『生きて貞女を破らんより、死んで未来の契りを待たん』と書置きし、家出してしまいました。

家出した深雪は、旅の疲れがたたって眼の光を失い、朝顔と名を変え、門づけに身をやつしておりました。深雪は琴の名手でしたから、家々をまわって琴を弾いて金品をもらっていたのです。

【浜松小屋(はままつごや)の段】

盲目となってしまった深雪(=朝顔)と乳母の浅香との偶然の出会い。
人買いの輪抜吉兵衛と乳母浅香との戦い。
(登場人物)
深雪がから朝顔に、
深雪の乳母浅香、
人買いの輪抜吉兵衛。

【嶋田宿(しまだのじゅく)笑い薬(わらいぐすり)の段】

お家乗っ取りを企む岩代多喜太は、 駒沢次郎左衛門を始末しようと、藪医者の萩野祐仙と・・・・
戎屋徳右衛門の機転により、・・・笑い薬・・・(抱腹絶倒)
(登場人物)
宮城阿曽次郎、嶋田宿の主人、
乗っ取りを企む岩代多喜太、
怪しげな医者萩野祐仙

【宿屋(やどや)の段】

盲目の朝顔(=深雪)と駒沢次郎左衛門(=宮城阿曽次郎)との再会。岩代多喜田が近くにいるので、名をなのれない駒沢次郎左衛門(=宮城阿曽次郎)。またもすれ違い。
(登場人物)
宮城阿曽次郎、宿屋の主人、
下女のお鍋、深雪改め朝顔、
悪役の岩代多喜田。

【大井川(おおいがわ)の段】

深雪が大井川にたどり着いたとき、駒沢(=宮城阿曽次郎)たちはすでに川を渡ってあと。
身を投げようとした深雪を抱きしめる戎屋(えびすや)徳右衛門。
(登場人物)
秋月弓之助の娘深雪(=朝顔)、元秋月家の奉公人で深雪の乳母浅香の父の戎屋(えびすや)徳右衛門。


「朝顔日記」のクライマックス「大井川の段」
戎屋(えびすや)徳右衛門に助けられ、その犠牲的行為により目が見えるより、朝顔の目にはじめて映ったのが、「朝顔の松」でした。お暇な方は、島田市博物館の隣りの「朝顔の松公園」を訪れてください。
爪音は松に聞けとや 春の風
初代朝顔の松
嶋田宿 朝顔の松
4.実際の話は
では、実際の話はどうだったのでしょうか?
今の宮崎県が日向の国と言われていた頃の実際にあった話を元に、『朝顔日記』が作られたことがわかっております。日向の国に、財部(たからべ)藩(後に、高鍋藩)という名の藩があって、その藩の上方下方(うえかたしもかた)騒動というお家騒動が元になって、脚色されたのです。
さらに、高鍋藩のあった高鍋町の資料館からの資料によると、「深雪(=朝顔:本名 久)は、寛永18年(1641年)辛酉(かのととり)4月18日、駿劦(するが)志水浦(しみずうら)において、同国、江尻法岸寺に葬る」とあります。結局、深雪(=朝顔:本名 久)は、志水浦(しみずうら)の公役、船手奉行の山下氏に嫁いだのです。山下氏の役宅は、入江岡の駅の下手側にあったそうです。
深雪(=朝顔:本名 久)の墓は、法岸寺の中でも立派に造られており、探せばすぐにわかります。入江商店街の朝顔まつりは、毎年7月下旬に開かれます。お祭りのメインは朝顔の品評会です。毎年多数の美しい朝顔が咲き乱れ、訪れた人の目を引いています。
そして朝顔の絵展示会、商店街の方々による模擬店なども多数あり、ゆったり楽しめるお祭りとなっております。

5.終わりに・・・
入江商店街というと『ちびまる子ちゃん』のマンガで有名なさくらももこさんが生まれたことで有名です。『ちびまる子ちゃん』の多くは、さくらももこさんが入江商店街に住んでいた生活体験にもとづいて描かれております。    
一時期は、多くのアニメフアンが入江商店街に見学に来ました。同じように、人形浄瑠璃が盛んだった頃は、『生写朝顔話』も有名だったと思います。その頃は、「朝顔まつり」は清水では知らない人はいなかったかもしれません。今では、入江商店街の人以外ではあまり知られていないと思います。
でも、清水駅前銀座商店街からすぐそばで行われるお祭りです。これを機会に、入江商店街の『朝顔まつり』を覗かれることをお勧めします。

清水歴史散策シリーズ

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税理士法人森田いそべ会計
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代表 森田行泰
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