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 2.水口屋ギャラリーの中に入って
水 口 屋 ギ ャ ラ リ ー
フェルケール博物館別館
鈴与株式会社 水口屋研修センター
 
 明治の元老西園寺公望が、興津に坐漁荘を建てたのは大正8年9月のことでした。それ以前より一碧楼(いっぺきろう)水口屋へは幾度となく投宿を重ね、やがて西園寺が興津の住人となっていく話は、地元ではよく知られています。他に政治家や、実業家達が興津に別荘を建てたり、水口屋を利用し、当主の望月半十郎とも昵懇(じっこん)のつきあいをしました。
 かつて興津は物資と情報の基地として戦国武将達の戦略拠点であり、東海の要衡の地でもありました。使命は時代とともに移り変わり、江戸時代には宿場として繁栄し、参勤交代や伊勢詣での客で人波が途絶えることはありませんでした。やがて明治の時代となり、宿場は商人達の往来が活発化し、客筋の多くを占め、また皇族、文人墨客、軍人達の利用もたびたびであったといいます。
 宿屋がおのずと交流の場であることに、今も昔も変わりはありません。宿泊人同士の交流もあれば、宿の主と客との交流も当然ありました。そこに政治や文学が生まれました。しかし、昭和60年1月、水口屋は約400年続いた宿屋の歴史に静かに幕をおろしました。
 水口屋の資料は、その後も望月半十郎氏(二十代目)が保管・所有するところでありましたが、平成7年1月フェルケール博物館の研究資料として寄贈されました。それらの資料を中心にして、水口屋ギャラリーは、一碧楼水口屋の歴史を後世に伝えたいという主旨で、平成11年3月に開館いたしました。興津の歴史とともにご鑑賞いただければ幸いです。
(清水歴史探訪より)
 営業を終えた水口屋は、『水口屋ギャラリー』として、一般公開されています。
 「さて、この展示室なんですが、今小さな玄関から上がってきまして、広間のようになっているんですけれども、ここはかつてはどんなお部屋だったんですか。」
 
 「こちらのほうは、かつては厨房だったところを改装いたしました。かっては大型冷蔵庫が入っていました。食器倉庫なんかをそのまま使っておりますので、ちょっと変形した形になっておりますね。」
 明治維新を迎えると、水口屋も時代の大きな波に翻弄されます。そんな中から、新しいアイディアが生み出されます。
 
 「江戸時代から明治に入りまして、参勤交代がなくなってしまいますと、この東海道筋にあった旅籠がバタバタと潰れていってしまいました。
 それを防ごう、ということでこの水口屋の(初代)望月半十郎が中心となりまして、『一に新しい講社』と書きまして、一新講社(いっしんこうしゃ)、今でいう旅籠のチェーン店を立ち上げました。
 そして、同業者組合を立ち上げまして、パンフレットみたいなのを作りました。
 パンフレットには、江戸の日本橋の旅籠から最後は京都の旅籠までを募りました。興津ですと水口屋というのが大きく載っております。さらに、次にはここの旅籠がいいですよ、なんて紹介なんかもしていたみたいですね。」
 「ページ数はかなりあるようなんですが、ちょっと手のひらサイズといいますか、携帯に便利なサイズで。」
 「そうですね。」
 「興津は水口屋、静岡・安倍川があって、その先丸子(まりこ)、いろいろ書いてあるわけですね。」
 「そうですね。」
「当時の、チェーンという考え方は新しいですね。」
 「そうですね。なかなか望月半十郎さんという方は先を見る人みたいで、早速、一新講社の次は海水浴に目をつけました。明治の中頃になりますと、東海道本線がこの興津の町を通るようになりますと、明治政府にこの海水を調べさせまして、海水浴に適しています、というお墨付きまで頂きました。」
 「『登録の証』、『内務省』(という)ハンコがどんと押しておりますが。」
 「はい。そうしますと、東京方面から海水浴のお客様がいらしていただけるようになりまして、この水口屋もだんだん繁盛してきました。
 風光明媚で知られた清見潟。海水浴や釣りなど憩いの場として親しまれ、遠くに三保の松原(写真奥)が見えた=1960年ごろ、静岡市清水区(山田写真館提供)
 この東海道筋にも別荘が立つようになりまして、また、こんな懐かしい、まだ海水浴ができたころの写真なんかも飾ってございますね。」
 「この建物のすぐ目の前がもう海で、今でいうところの海の家のようなものが建っているんですが、その奥に見えている建物は・・。」
 「水口屋です。本当に裏口からすぐ海水浴場に出れるという。今でいうとプライベートビーチを持ったような感じですね。夏には桟敷なんかもね、作りまして、皆さんがゆっくり休んでいただけるように工夫されていたみたいですね。」
 「東屋(あずまや)なんかもありまして、これ今あっても人気が出るかもしれませんね。」
 「そうですね。この海が残っていればまた違った町になったかもしれないですね。」
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税理士法人森田いそべ会計
〒424-0816
静岡市清水区真砂町4-23
TEL.054-364-0891
代表 森田行泰
税理士
社員 磯部和明
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2.記帳業務
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■東海税理士会所属
■日本公認会計士協会所属
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