本文へ移動
6.醤油事業の歴史

(清水歴史探訪より)

志田邸では、かつて醤油作りを営んでいました。今も、当時の工場の建物が残されています。

 

「蔵は石造りなんですね。」

「そうですね、外側は石で、中は土壁でございます。この御社(おやしろ)が醤油の神様をということで、中から文化14年という札が出てまいりましたので、ちょうど今年で201年になるかと思います。

   工場の方はやはり棟札(むなふだ)が出てまいりましたので、天保13年と書いておりましたので、約170年前の工場ということが分かりました。」

「そうすると、この建物は地震に耐えたんですね。」

「はい、そうです。表は被災しましたので、安政の2年からカウントして160年になりますが、工場が新しかったこともあったんだと思います。

   柱がしっかりしていたんでしょう、こちらは耐えたということを聞いておりましたら、『天保13年』という札が出てきました。これが天保13年に造った醤油の工場でございます。

   本当に家内工業で、数名でつくっていたんだと思います。この南にもう1つ、ちょっと大きいのがあったというのが当時の記録で分かっておりますが、この建物は4間(けん)×6間(けん)でございまして、わずか24坪のものでございます。」

各種農機具
はかり

「当時使われた道具などは、残っているんでしょうか。」

「一部、そういう鉄鍋とか樽とかそういうのは残っておりますが、多くはもうすでに処分してしまったようです。帳簿類は残っておりますが、代々、六左衛門ということで、『やまろく醤油』として、ここでは販売していたようでございますが、よそのお宅のマークも出てまいりましたので、委託で作ることもやっていたようでございます。」

「今、ここはどのように使われているんですか。」

「醤油関係の展示をしているときもありますが、今年は、家康公が亡くなって400年ということで、家康公の色々なものを伝えようということで、ことに宿場でございますので、『宿駅伝馬制(しゅくえきてんませい)』についてお伝えしようと。それからもう1つは、ここが歴史国道に指定されておりますので、そういうこともお伝えしようということで、今、この醤油工場の中で展示しております。」

「内側から見ても、この壁とかそれから柱など、頑丈そうですね。」

「そうですね、梁がこれ6間(けん)あります、11メートルの梁。そしてそれを支える柱が、周囲は3尺ごとに入れて、きめ細かく柱でこの建物を支えるようにしているわけでございます。」

「壁は、土壁なんでしょうか。」

「そうですね。ただ、町家づくりの壁とはちょっと違う、麦わらなんかがのぞいていますので、荒っぽい土壁のようです。そして、中に竹を丸々入れております。

 町家づくりの場合には、竹を普通、基本的には割って入れるわけですけれども、やはり工場は丈夫にしなきゃいけないということでございましょう。当時はやはり火事が出ますので、窓を少なくし、外側を石で覆っております。防火建築ですね。

 ですから、窓も一応鉄の扉が外側からついております。それから、もう1つは当時、床をはっていなかったということが分かるわけでございます。江戸時代の工場、写真も設計図も残っていない時代ですので、建築家の方が来られて、ここへ来て江戸時代の初期の工場の構造が分かるとおっしゃっていました。

 また、江戸時代の工場の建屋が、少なくとも東海道どこにも残っていない、というようなことを大学の先生たちが教えて下さいましたけれども。そういう意味では、ここを見ていただくと参考になるのでは、と思っております。」

「こちらの額に入った、これは何でしょうか。」

「これは、この地区、清水の地区の醤油組合の価格表でございます。ということで、最上醤油から上等醤油、中等醤油、下等醤油ということで、4段階ございますが、大正5年、最上醤油が『一升44銭』と書いてございます。お隣にありますのが、大正15年の価格表です。よく見ていただくと、5割増しになっています。わずか10年で5割増しになっています。わずか10年で5割増し。この間に大正12年の関東大震災があったので、急に物価が上がったようでございます。」

「こういうところからも、時代が分かりますね。」

「お醤油が復刻されていると伺っていますが。」

「昨年、『中山道の日』ということで、中山道の宿場に毎月、場所を提供しておりました。

 中津川で醤油等を販売しておられる会社の社長さんが来られて、たまたま昭和の初めまで販売した醤油のラベルをご覧になって、『これは非常に珍しい。今の感覚と違うラベルで、ぜひ使いたい』ということで、自分の方で復刻されて販売しておられます。こちらでもお分けしているわけでございます。

 醤油そのものは今の味でございますが、このラベルが材料である小麦と大豆の苗をあしらって、周りには桜を入れてオレンジとかブルーとかいろんな色を混ぜて作ったラベルになっているんですが、これがやっぱり今の感覚と違って面白いということで作られたわけでございます。」

4
7
6
6
4
7
税理士法人森田いそべ会計
〒424-0816
静岡市清水区真砂町4-23
TEL.054-364-0891
代表 森田行泰
税理士
社員 磯部和明
公認会計士・税理士

1.各種税務相談・税務申告
2.記帳業務
 3.給与計算・決算指導

■東海税理士会所属
■日本公認会計士協会所属
TOPへ戻る